プリンシプルでの「お仕事」を紹介する『プリンシプルお仕事図鑑』。第六回目は「SEOコンサルタント」です。
【仕事内容】
まず、SEOには大きく分けて2つの方向性があります。それぞれの仕事はクライアント企業の「自然検索を通じてビジネスを成長させたい」というニーズを満たすという点では共通していますが、仕事内容には共通する部分も、異なる部分もあるので、SEOコンサルタントを目指す場合、自分がクライアント企業に価値提供したいのはどちらのSEOを通じてか?をまず、明確にした方が良いです。その2つとは以下です。
- ・テクニカルSEO
- ・コンテンツSEO
それぞれのSEOの概要と仕事内容について簡単に説明します。
テクニカルSEOとは
以下のようなサイト改修を通じて、検索エンジンが自社のページを見つけやすく、また、正確に把握できるようにし、関連性の高いキーワードでの検索が実施された時に自社ウェブサイトのページが上位に表示されるよう調整する自然検索エンジン対策。- ウェブページ(HTML内)の要素の調整(タイトル、ディスクリプション、見出しタグ、発リンク)
- ウェブサイト内のページ同士のリンクの張り合い
- 構造化データ(HTML内の情報をGoogleが整理して把握できるよう、コンテンツに目印をつける所定の書式)の実装
- 検索エンジンのデータベースに登録してもらうページの制御(クローラー訪問の最適化や、登録してもらいたいページの統一)
テクニカルSEOの仕事
Google アナリティクスを利用して現状の自然検索からのセッションやユーザーの獲得状況を確認します。同時に、Googleが提供するSEOツール、Google Search Console(ぐーぐる・さーち・こんそーる)を利用して、検索キーワードごとや、ウェブページ毎の順位やクリックレートを確認します。また、どのページがGoogleのデータベースに登録済みか、データベースにページが登録される上で、エラーがでていないかどうかなどを確認します。
次に、クライアント企業のウェブサイトを確認し、ページ内要素、ページ同士のリンク状況や、構造化データの実装有無、クローラーの制御状況などを確認します。
その2点からテクニカルSEO上改善が必要な点をまとめて、その理由とともにクライアント企業に説明し、一つづつその改善を進めていく仕事です。
コンテンツSEOとは
クライアント企業の商品やサービスを求めるお客様が、どのようなコンテンツを探しているのか、どのようなコンテンツを閲覧してくれるとコンバージョンに至りやすいのかを分析し、すでに存在するコンテンツと対比して不足を見つけ出します。
その上で、クライアント企業にコンテンツの拡充をアドバイスし、結果的に自然検索からのユーザー獲得、コンバージョン獲得を実現する自然検索エンジン対策です。コンテンツSEOの仕事内容
Google アナリティクスを確認し、どのようなメディアからコンバージョンが発生しているのか、どのようなランディングページからコンバージョンが発生するのかを確認します。
また、クライアント企業のお客様になったつもりで、多数の自然検索を実行し、どのサイトが現状、上位に表示されているのかを確認します。
さらに、上位表示するサイト(競合サイト)が持つコンテンツとクライアント企業が持つコンテンツを比較し、競合サイトにはあるのにクライアント企業にはないコンテンツを特定します。
上記の情報を整理し、クライアント企業に対して、どのようなコンテンツをどんな順番で作成するのが合理的か、そのコンテンツはユーザーのどのような情報ニーズを満たすものかを提案し、コンテンツ拡充の支援を行います。
【仕事上の喜び】
仕事上の喜びは「自然検索から関連性の高いトラフィック(※)」を定常的にクライアント企業にもたらすことができることです。出稿を取りやめてしまうとトラフィックがなくなってしまうWeb広告と対比し、自然検索からのトラフィックはクライアント企業のウェブサイトの「資産」となるため、その資産を増やして差し上げる喜びだといえるでしょう。
※関連性の高いトラフィック クライアント企業のサービスや商品に興味があるユーザーが、自然検索経由で来訪するトラフィックのこと
【求められる知識・スキル】
テクニカルSEO、コンテンツSEOに分けて、求められる知識・スキルをまとめてみました。テクニカルSEOがより左脳的、コンテンツSEOがより右脳的な知識・スキルが必要になります。
テクニカルSEO
ユーザー行動(クライアント企業の商品やサービスを求めるお客様はどのような検索行動を行うのか?)への洞察を基礎とした上で、テクニカルSEOでは、以下の知識・スキルが求められます。
- インターネットの仕組みについての知識
- Googleの上位表示アルゴリズムについての知識
- ウェブサイトの仕組みと、HTMLについての知識
- Google アナリティクスやGoogle Search Consoleを適切に操作するスキル
コンテンツSEO
コンテンツSEOにおいては、何よりもユーザー行動の洞察が最も求められます。例えば、以下のような点について、確度の高い推定を行うことのできるスキルです。
- クライアント企業の商品やサービスを求める人はどんなユーザーだろう(ユーザー像・ペルソナ)
- そのユーザーは何を解決するためにクライアント企業の商品やサービスを求めるのだろう?(ユーザーのペーン)
- 関連知識が全くないユーザーはまず、どんな知識を欲するだろうか?(情報ニーズ)
- その知識はどんな状況で必要とされるだろうか?(情報ニーズを満たしたい状況)
- その知識を検索エンジン経由で入手するため、どんなキーワードで検索するだろうか?(情報ニーズの検索キーワードへの変換)
【キャリアパス】
SEOコンサルタントのキャリアパスは、かなり広いです。
テクニカルSEOを極めた後、コンテンツSEOの専門性を高め、オールマイティなSEOコンサルタントになる。というのが一つのメインのキャリアパスです。テクニカルSEOとコンテンツSEOは補完関係にあるため、より効率的、合理的にクライアント企業のウェブサイトを「資産化」できるからです。
また、SEOコンサルタント(特にテクニカルSEOのコンサルタント)に求められるインターネットやウェブサイトについての幅広い知識は、Web解析コンサルタントにも通じるものがあり、SEOを極めたあと、「自然検索以外メディアや、LPOなど他の施策からもコンバージョンを増やす支援」をするWebコンサルタントに転身する道もあります。
少し変わったキャリアパスとしては、ウェブの制作の指揮を取る「ウェブディレクター」としても活躍できる知識・スキルが身につきます。最近のWebサイトに求められるものとしては「かっこよさ」よりも「成果」の比重が高まっており、ユーザー行動への洞察、自然検索のアルゴリズムへの理解は成果の出しやすいウェブサイトを制作するために大きな武器となることでしょう。
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