はじめに
新型コロナウイルスを巡る状況が、日に日に厳しさを増していく中、今後の先行きに見通しが持てず、不安になっている方も多いのではないかと思います。先日、京都大学iPS細胞研究所の山中先生が、NHKのインタビューの中で、今回の新型コロナウイルスに対しては、1年、あるいはそれ以上の長期戦を視野にいれて、対策を実施していく必要があるという趣旨のことを話されておりました。山中先生の新型コロナウイルスに関する情報発信ホームページにも、そのような趣旨の文章が掲載されています。
新型コロナウイルスとの戦いが長期戦となるのであれば、今私たちがすべきことは、その長くなるであろう戦いの状況を予測し、それぞれの段階でできることを、着実に実施していくことではないかと思います。
本ブログでは、これからの将来を「悪化期」「最悪期」「回復期」の3つの時期に分け、それぞれで「医療現場・科学界」「社会(自治体・国・世界)」「経済・企業活動」「家庭・日々の生活」がどのようになっているかを考えることで、私たちが何をすべきかを、考察しました。
時期については、以下のように定義しています。
悪化期:感染者数・死亡者数がどんどん増えていく時期。経済や社会は萎縮し、個人の活動にも様々な制限(外出制限など)が課せられはじめる。
最悪期:感染者数・死亡者数がとてつもなく増えて、医療崩壊のリスクが限りなく高まる時期。社会も経済も企業活動もどん底を迎える。
回復期:感染者数・死亡者数が徐々に減少していく時期。医療体制や社会・経済にも回復の兆しが見え始める。
今政府は、医療が崩壊し感染者数、死者数が増大する「最悪期」を避けるべく、最大限の手をうとうとしていますが、その「最悪期」をも予測・想定しておくことが、残念ながら、今求められているのではないかと、私は思います。自分なりの個人的なまとめですが、このブログが何らかの参考になれば幸いです。
悪化期における事態の予測とこの時期にすべきこと
まず、この時期における社会の状況をまとめると下表のようなるのではと思います。
医療現場科学界
- 初期
– 日々の感染者が増え始める
– 経路不明の感染者が増え始める - 後期
– 感染者数の増加に医療体制(病床数や機材など)が追いつかなくなる
– 死亡者数が増え始める
社会 ※自治体・国・世界
- 初期
– 各種活動の自粛が呼びかけられる
– 移動や行動が制限されはじめる - 後期
– 緊急事態宣言が出される
– 移動や行動が著しく制限されはじめる
経済・企業活動
- 初期
– 一部の業種(旅行業界・音楽業界・飲食業界など)の経営が悪化
– その他の業種でも、一部の取引が中止/休止となり、売上が低下する - 後期
– 多くの業種で経営が悪化し、倒産が増加 → 失業者の増加
– 企業活動の停滞により、一部の商品が手に入りにくくなる
家庭・日々の生活
- 初期
– 外出や移動が制限され、自宅で過ごすことが多くなる
– 一部職種(医療関係者など)は逆に多忙となる
– 収入が減り始める - 後期
– 職種により失業や休業が増え、収入が著しく減少する
– 自粛生活などにより、精神的ストレス・肉体的疲労が蓄積する
そしてこの時期において、おそらく会社では、以下のようなことが起こってくるのではないかと推測します。
- リモートワークが多くなり、各種活動に支障がではじめる
- 体調や心身の調子を崩す社員が増えてくる
- 新規営業が難しくなり、新規受注がとれなくなる
- 業績の悪化により、既存取引の中から、取引の一時中止や終了が申し入れられる
- (先方都合や当社都合により)予定通りの納品ができなくなる
- 売上が減少しはじめる
この時期において大切なことは、以下のようなことであると考えます。
- 社員の体調やメンタルをフォローしつつ、感染者が出たときの対策を講じる
- リモートでも機能する組織作りに取り組み、フルリモートとなった時に備える
- 現在の商談や取引が中断・終了となるリスクを把握し、対策を講じる
- 新しい営業方法を考える(アウトバウンドは難しいので、インバウンドを強化する、など)
- 今までとは違う方法で、売上をあげる方法を考える
- 業務効率を改善し、省力化に励む(資料の標準化など)
- この時期を利用して、社員全体のレベルを上げるための教育・育成体制を整備する
- 腰を据えて「経営」を考える
「悪化」に向かう大変な時期なのに、考えるべき、やるべきことが多いと感じたかもしれませんが、まだ「最悪」ではないこの時期だからこそ、できることを早めに実施し、「希望の種(=対策)」を蒔いておくことが重要であると考えます。「最悪期」は文字通り「最悪」な時期なので、対策を考える力も残されていない場合が多いです。「最悪期」を耐え「回復期」を迎えるには「希望」が必要であり、その「希望の種」を蒔く時期は、この時期(=現在)の他にないと考えます。
最悪期における事態の予測とこの時期にすべきこと
この時期における社会の状況をまとめると下表のようなるのではと思います。
医療現場科学界
- 日々の感染者、経路不明の感染者、死亡者数が爆発的に増える
- 医療従事者への感染も増加し、医療体制の維持が厳しくなる
- 一方で、予防・診断・治療に関するデータが集まり、研究は加速
社会 ※自治体・国・世界
- 個人の活動が著しく制限され、企業活動にも多大な影響を与える
- 都市は封鎖され、交通手段も制限される
- 一方で、悪化期から準備されてきた対策が、徐々に実施されはじめる
経済・企業活動
- 多くの業種で企業が倒産し失業者が増加。倒産しないまでも、取引や売上が大幅に縮小する企業が増え、企業活動が停滞。企業活動の停滞や人材不足は生産・流通・小売りなどに影響を与え、商品が不足。
- 一方で、一部の業種は需要が高まり、新しいビジネスも芽生えはじめる
家庭・日々の生活
- 失業や休業が増えることで、収入が著しく減少し、生活も厳しくなる
- 精神的ストレスや肉体的疲労から、体調を崩しやすくなる
- 一方で、新しい働き方・ライフスタイルが芽生えはじめる
この時期において、おそらく会社では、以下のようなことが起こってくるのではないかと推測します。
- 会社への出社が社会的に制限され、営業活動や納品活動に大きな支障がでる
- 社員の精神的・身体的健康状態が悪くなる
- 社員の中に新型コロナウイルスの感染者が出始める
- 営業がまったくできず、新規受注が0に近くなる
- 取引の中止や納品時期の延期が多くなる
- 売上が著しく減少する
この時期において大切なことは、以下のようなことであると考えます。
- 辛い時期だが、一致団結して耐え抜く
- このような時期だからこそ、自分自身や家族の健康維持を大事にする
- このような時期だからこそ、自己研鑽などの第二領域に励み、「刃を研ぐ」
- このような時期だからこそ、コミュニケーションを大切にし、声を掛け合う
- このような時期だからこそ、「新しい発想」でものごとに取り組む
- このような時期だからこそ、地に足を付け、できることに着実に取り組む
- 来たるべき回復期に備え、営業や提案の準備をする
先に述べたように、この時期は「最悪」の時期なので、社員の健康やパフォーマンス・モチベーションなどの「メンテナンス※」に、今まで以上に取り組むことが重要となってくると思います。
※「メンテナンス」については、「人事課題をどう解決するか 「働きがいのある会社」ランクインでも悩める理由」のブログで社長の楠山が紹介しています。
また自己研鑽やコミュニケーションなどの、第二領域(緊急でないが重要なこと)に重点的に取り組むことも重要だと思います。
そして、短期的に売上は大変厳しくなると思われますが、新たなビジネスチャンスもまた潜んでいると思われます。特に「回復期」以降にやってくる大きなチャンスに備え、機を逸しないよう、準備をすることも重要であると考えます。
回復期における事態の予測とこの時期にすべきこと
この時期における社会の状況をまとめると下表のようなるのではと思います。
医療現場科学界
- 初期
– 診断法、予防法、治療法に一定の目処がつく
– 医療従事者への感染が減り、医療体制が回復する - 後期
– 死亡者数が減少
– 重篤化リスクが軽減
– 感染者数が減少
社会 ※自治体・国・世界
- 初期
– 国や自治体の各種対策が実施され、効果がではじめる
– 一部制限が解除されはじめる - 後期
– 緊急事態制限が解除
– 行動制限・移動制限が解除され、イベント・スポーツなども再開
経済・企業活動
- 初期
– 倒産企業などへの補助が行き渡る
– 一部制限の解除により、業種によっては企業活動が再開
– 商品不足も解消されはじめる - 後期
– 取引が正常に戻り、売上も回復
– 一部業種では、今までの反動から好景気を迎える
– 商品も普通に流通し品不足は解消
家庭・日々の生活
- 初期
– 家庭への経済的支援が行き渡る
– 様々な心配や不安が徐々に解消されていく
– 心と体に余裕が生まれはじめる - 後期
– 仕事も従来通りできるようになり、収入も回復
– 旅行や娯楽などを楽しめるようになる
この時期において、おそらく会社では、以下のようなことが起こってくるのではないかと推測します。
- フルリモートが解除され、出社も一部できるようになる
- 社員の身体的・精神的健康状態が回復しはじめる
- 国の補助や支援が行き届き、多くの業種で取引が再開する
- 業種によっては、今までの反動から好景気となり、営業や提案の機会が多くなり、売上拡大の好機となる
- 「最悪期」に耐え抜いたこと、「最悪期」に試した新たなことが大きな力となり、会社としても売上的にも、「成長期」を迎える
この時期において大切なことは、以下のようなことであると考えます。
- 今までの苦しい経験を「希望」や「力」に変える
この回復期を迎えるまで、どれくらいの期間が必要なのかは、現在では予測がつきません。場合によっては、「悪化期」「最悪期」「回復期」を数回繰り返すこともあると思います。ですが「明けない夜はない」「終わりのないトンネルはない」と信じながら、今できることを着実に、力を合わせて実施していくことが、そしてその繰り返しと積み重ねが、きっといつの日か、大きな力となって返ってくると、私は信じています。
今、プリンシプルが実践していること
以上、新型コロナウイルスとの長くなるであろう戦いの状況を予測し、それぞれの段階でできることを、個人なりにですがまとめてみました。最後に、プリンシプルが今試していることをいくつか紹介して、このブログ記事を締めくくりたいと思います。
常時オープンのハングアウト
社員の自発的な呼びかけで、常に誰かがインしている(常時オープンの)ハングアウト(オンライン会議)を実施しました。
オフィスにいる少数とオンラインの多数の社員をつなぎ、人の気配を感じながら仕事ができるように、あえて雑談が生まれる場を用意しました。一人ひとりが孤独にならないことが大切です。
オンライン飲み会
普段飲みに行かない他部署の人とも交流でき、好きな時に出入りできる気軽さで、オンライン飲み会は大好評でした。
社長の楠山、副社長の木田、常務の中村をはじめ、多くの社員が参加しました。
朝会
創業時から実施している朝会も、オンラインで実施するとご覧の通り。会社のスクリーンにオンラインの多くの社員が表示された姿は、圧巻でした。
以上は、「社員がリモートとなった場合でも機能する組織作り」の一環として、プリンシプルが実践している取組の例となります。このほかにも、先日ブログで紹介した「ポッドキャストによる社内報」や、教育・研修体制の整備(プリンシプル大学)、新しい営業の模索など、この困難な時期を乗り越えるために、社員一人ひとりが知恵を出し合って、様々な取組を開始しているところです。
このブログ記事が、皆様の何らかの参考になれば幸いに思います。