“「あんしんして、ゆめみることの できる いえを」”
夜寝る前に子供達へよく読む絵本からの引用文ですが、社会人になるまで人生の半分以上を海外で過ごしてきた私にとっては、日本は生まれ故郷でもあり、落ち着く国でもある反面、アイデンティティーは世界のどこかで宙に浮いたままで、日本が「あんしんして、ゆめみることの できる いえ」にはなりきっていません。
そんな私ですが、現在のライフステージがフルタイムで働ける時期ではないと考えているため、プリンシプルにアルバイトとして働いて約3年経ちます。
プリンシプルのクレドの一つに以下があります。
“「一人ひとりが専門性、創造性、独自性を磨くとともに、年齢、性別、国籍、働き方などの多様性を尊重します。また従来の考えに捉われないユニークなアイデアを尊重します。」”
多様性の尊重は、メルティング・ポットでもある米国でも容易ではありません。ただ、相手の言い分を聞き、それが自分の言い分とは違っていても「許容」する姿勢は日本より浸透しているような気がします。プリンシプルは代表の楠山がシリコンバレーに移住したり、外国人社員比率が10%に近いなど、グローバル志向の強い会社ですので、本気で多様性の尊重を目指しているからこそ、クレドで掲げているのだと理解しています。そうであれば、宙に浮いている私のアイデンティティーが「許容」され、フィットするところと考えています。
業務は入社当初から採用のお手伝いをしておりますが、米国Tableau本社で働いていたRay Randall氏の採用に際し、私が上司のリフェラルを取ることになりました。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、米国では採用時に候補者の前職、前前職の上司や同僚にリフェラルを取るのが一般的です。
一人の採用に携わるということは、大変責務があるお仕事です。それを私に一部任せて頂いたことはとても嬉しいことですし、私の宙に浮いているアイデンティティーを「開花」させてくれたことに嬉しく感じています。
アイデンティティは宙に浮いている私ですが、英語でのコミュニケーションには問題がありません。上司の方との電話も、言葉の使い方に気を使いましたが、無事に終了いたしました。その仕事をきっかけに、外国籍の求職者の方への会社説明会や面接、社内の外国籍社員の方へのコミュニケーション支援などを担当しています。私にとっての「宙に浮いているアイデンティティ」はプリンシプルにとっての「マルチカルチャー」の促進や、外国籍社員の方へのよりよいコミュニケーション上では、強みになっていたのです。
ちなみに、Rayさんに「私は日本人らしくないか?」と聞いてみたところ、以下のような回答がきました。
“I think this is a difficult question for me to answer, as I’m not sure what a typical Japanese person is like. I’ve been here a couple years now so perhaps I can now say that you seem much more relaxed and easy-going than many other Japanese people I have met! Also, I remember when we first spoke that I thought you were maybe American-Japanese because your American-English accent is perfect.”
“「こんにちは。典型的な日本人がどういったタイプなのかが分からないため、これは難しい質問だから答えにくいです。私が日本に来て数年経ちますが、言えるとしたら、あなたは、私が会ってきた多くの日本人と比べて、ざっくばらんで陽気な人だと思います!最初に話した頃を覚えています。アメリカ英語の発音が良いから、てっきり日系アメリカ人だと思いました。」”
冒頭で紹介したフレーズは、コビ・ヤマダ作による「アイデアたまごのそだてかた」という絵本からの引用です。この「あんしんして、ゆめみることの できる いえ」というのは、国籍問わず、自身の考えを安心して主張できる、違った考えでいても許容される、そんな多様性社会が持つべき姿だと考えています。
ぜひプリンシプルのダイバシティーを弊社のセミナーなどを通して体感していただければと思います。