新型コロナウィルスの影響で、急遽リモートワークを導入した企業や社内で旗振りをされている部署では、ベストプラクティスを求めて奮闘されているのではないでしょうか。
当社では、2011年の創業時より、リモートワークを取り入れた働き方を推進してきました。現在まで継続している3つのポイントをご紹介します。
リモートワークではじまった組織
創業時はオフィスを持っていませんでした。起業したらオフィスを構えて、人手が必要になれば正社員を雇うのが常識なのでしょうが、社長楠山は、その常識に従わずにどこまでできるのか、やってみることにしました。これが「リモートワーク」を始めるきっかけでした。
従業員が10人を超えてくると、対面でのコミュニケーションが効率的だったり、経営メッセージの浸透、採用、教育、総務などは、対面の方がやりやすかったりしたため、オフィスを構えることになりました。それまでにリモートワークの良さを感じていたため、オフィス出社を週4日としリモートワークを週1回までとました。
その後、今回の新型コロナウィルスによる影響で、2020年4月1日より全社リモート勤務とし、緊急事態宣言解除後からは、曜日交代制で週0〜1回出社しています。
With / After コロナにおいて、リモートワークが制度としてうまく運用されるために大切な3つの要素があると考えます。
1. 勤怠状況を見える化
クラウド勤怠ツールに、始業、終業、中抜け時間、そしてどの業務に何分、何時間使ったかを入力することを徹底しています。マネージャーがメンバーの稼働状況やリソースを把握し、また、評価や報酬にも反映される仕組みにしています。
さらに、slackに勤怠専用チャンネルをつくり、Googleカレンダーに各自が登録した休暇やシフト勤務(*)予定が、前日18:00に自動投稿されるようにしました。
*当社では、朝5:00から始業でき、早く終業できる「Early Bird」という制度があります。
会社は、イレギュラーに勤務する従業員を把握でき、従業員側も自分の働き方を共有することで、まわりの理解を得ることができます。特に、育児や介護を織り交ぜながら働く社員にとって有効的です。
2. 評価制度は、成果主義
リモートワークの成功において特に重要なのは、時間ではなく成果で評価するシステムをつくることと、それを徹底的に浸透させることだと当社は考えています。
時間基準での評価になっていると、マネジャーはつい部下を管理したくなり、リモートワークが難しくなります。成果主義の評価制度を設け、リモート下でも数字が見える環境をつくることで、マネジメント側の負担を減らすことにもつながります。
上述の勤怠ツールを利用し収益性と成果を正確に把握するようにして、目標の達成率を測っています。受注額に対して誰が何時間費やしたかという数字から社内コストを算出できるので、1案件あたりの収益性も把握できます。データがあることで効率や収益性を数字で見ることができるため、公平性も高まりました。
3. 自律したプロフェッショナルの集まる組織
社員の自己管理が求められるリモートワーク環境下では、これまで以上に理念浸透が重要になります。会社の理念である「個人と会社のWin-Win」を体現できる人材を採用し、社員と会社の方向が一致していれば、モチベーションは自然と上がります。
会社のミッション、ビジョンを明確にし、面接の場では理念との合致度を確認します。それに合う人材を採用することが重要です。
ミッション・ビジョン・バリューが印刷された「PRINCIPLE WAY」
Afterコロナに予想される2つのこと
Afterコロナの時代では、オフィスについて次の2点を考えます。
1. オフィスが「コミュニケーションの場」に
企業は、リモートワークとオフィスを使い分ける選択肢を持つようになるでしょう。その際、オフィスの定義と使う目的をはっきりさせる必要がでてきます。今までは主に「執務の場」でしたが、これからは「コミュニケーションの場」と定義されるのではないでしょうか。よって、対面で重要なことと必要のないことを切り分けて、対面の価値が生かされることだけをオフィスにて行います。
2. オフィスを手放すか、維持して「場」をいかすか二極化へ
企業のオフィスをどうするか問題は、二極化が進み、従業員数が増えてもオフィスを大きくしない企業と、オフィスサイズは維持、または拡張させながら組織形成に取り組む企業に分かれていくでしょう。
前者は、ライフスタイルビジネスといった個人の自由な働き方を重視し、全従業員が完全リモートになるかもしれません。
後者は、オフィスという「リアルな場」をチームビルディングや文化形成、理念浸透のために利用するようになるでしょう。Google CEOのSundar Pichai氏は、現在進行中のカリフォルニア州マウンテンビュー本社の大幅拡張プロジェクトについて、「どんな状況でも、人が物理的に集まる空間は必要であると考え、予定通りに実行されるだろう」と述べています。(*)
オフィスをより大きくしたり、移転はしなくとも、サテライトオフィスをつくり、拡張させることもあるでしょう。
社長の楠山 健一郎が語った、リモートワーク制度についての記事もあわせてご一読ください。